『アメリカの大恐慌』を讀む(15)過少消費説
ロスバードの"America's Great Depression"(『アメリカの大恐慌』)を讀むこの試みは、理論篇である第一部を今囘で終へるのを機に、おしまひとする。大恐慌の經緯を具體的に追ふ第二部以降の内容は、今後、シリーズ「大恐慌の眞實」の中で紹介していきたい。
過少消費説(Underconsumption)
さて、「過少消費」理論は大恐慌の解説書でよく登場するが、ケインズがある意味でお墨つきを與へるまで、まともな經濟學扱ひされてゐなかつたとロスバードはいふ。この理論によれば、好況期に一部の金持ちに富が集中する結果、一般の消費者は物をあまり買へず、製造された商品が賣れ殘るやうになる。これが經濟危機と不況を招くといふ。
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