2012年4月20日金曜日

特定非営利活動法人 自然体験共学センター:文部科学省


所在地…〒910-0005 福井県福井市大手2-16-37
TEL…0776-21-2216 FAX…0776-24-8603
URL…

1 団体の概要

代表者名…辻 一憲
設立年月…2001年4月 認証日…2004年3月10日
有給スタッフ数…常勤/5名、非常勤/1名
事業規模(09年度決算収入)…33,572,000円
(内訳:自主事業収入16,428,000円、受託事業収入7,182,000円、助成・補助金9,118,000円、寄付金709,000円、その他135,000円)

活動の目的・趣旨

 日本の豊かな自然環境を活用した自然体験教育事業や自然環境保全事業を通じて、青少年の健全育成、国民の豊かな余暇生活の構築及び自然環境の保全に寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 自然体験教育活動の普及と発展を目指して長野県に設立された特定非営利活動法人グリーンウッド自然体験教育センターが、北陸における自然体験活動に力を入れるために、2001年に同法人の福井事務所をスタートさせた。以後、様々な自然体験活動や人材育成事業に取り組み、北陸における自然体験活動の一層の充実を図ることを目指して、特定非営利活動法人自然体験共学センターとして同法人より独立。2005年より廃校を拠点に「ふくい森の子自然学校」を開設し、自然体験活動を中心とした活動を行っている。


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主な活動内容

1.幼児~中学生を対象とした事業
  • 夏の自然体験キャンプ:夏休み期間中の自然体験活動や野外活動
  • ふくい森の子自然学校:一年を通した四季折々の自然体験活動
  • 冬の里山自然遊楽:冬休み期間中の自然体験活動や年末年始の行事・文化活動
  • ちびっこ春キャンプ:春休み期間中の自然体験活動
2.青年を対象とした事業
  • 人材育成事業:CONE各種指導者養成講座
  • ふくいエコ・グリーンツーリズム:地域行事や子どもたちの自然体験活動のお手伝い

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 夏の自然体験キャンプ

作る・感じる・考えることがねらい

 夏の自然体験キャンプは2002年から毎年開催し、2010年で9回目を迎えた。福井市上味見(かみあじみ)地域をフィールドに、関西や福井県内の子どもたちに夏の自然体験活動や野外活動の機会を提供している。
 生きる力をサポートするとともに、子どもたちの森・川・里山などの環境に対する意識を高め、自己表現力、創造力、集団生活において育てられる人間関係形成能力の育成を支援することが、夏の自然体験キャンプのねらいである。

仲間とつくる、子どもが主役のキャンプ

 夏休み期間に1泊2日~6泊7日までのコース・組を15組程度設定している。コースは、以下の4つに分かれており、いずれのコースも自分で参加を決意することが参加条件になっている。

1.ベーシックコース(参加対象:小1~小6)
 キャンプの基本を体験し、自然・暮らし・仲間を大切に思う気持ちを育てる。活動は、会議で子どもたちが話し合いで決めていく。

2.スペシャルコース(参加対象:小1~中3)
 テーマと地域との関わりをより深めた自然体験・生活体験・創作活動などを通して、自然や暮らし、協働、地域への理解をさらに深める。

3.チャレンジミニコース(参加対象:小3~中3)
 チャレンジコースへのトライアルコース。森の中での暮らしと活動にチャレンジする。

4.チャレンジコース(参加対象:小3~中3)
 長期間の自然・仲間・地域との関わりを通じて学びと理解をより深めるとともに、チャレンジ精神、社会性の育成を目指す。


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スタッフ自作の森の中のツリーハウス 

「森の子のおきて」と安全教育

 キャンプの初日に、「森の子のおきて」を規則としてではなく努力目標として全員で必ず確認する。「森の子のおきて」には、「その1.君たち子どもが主役だ。その2.食事は自分たちで作る。その3.チャレンジが基本だ。その4.みんなで仕事、楽しい生活。その5.あいさつをする。その6.仲間はずれは許さない。その7.健康で安全に暮らす。その8.山や川は大事な友だちだ。」と記してある。
 「森の子のおきて」を全員で確認することで、子どもたち自身でみんなが楽しめるキャンプや活動をつくり上げるという動機づけとなり、自分の身は自分で守るという安全教育を主体的に学ぶねらいがある。
 キャンプ初日に行う「森の子会議」(日程づくり)で、子どもたちと相談しながら、子どもたちのやりたいことを行う� ��最初、親は心配しているが、何をやりたいか子どもたちに事前に考えてきてもらっており、楽しみながら参加できるようにしている。

大切な地域との関わり

 子どもたちは近所の農家での赤かぶらなどの野菜の収穫や、"伊自良(いじら)の里"振興協会の協力を得て、伊自良祭など地元の祭りに保護者や子どもたちが参加するなど、地域とのふれあいを大事にしている。

事業名称 ふくい森の子自然学校

からだいっぱい、自然と出会い、大好きな自分に出会う

 福井県内の子どもたちに、上味見地域をフィールドとして、自然・人・暮らし・文化・伝統に触れながら、四季の環境を活かした体験活動の機会を提供している。年間を通して活動を行うことで、四季の移り変わりを感じるとともに、福井の自然・環境・人・文化の好きな子どもたちを育てることが、ふくい森の子自然学校のねらいである。

自然、生活、仲間を視点とした活動をする年代別活動

 期間は5月~翌年2月の間で、日帰り~1泊2日の日程で各日定員15~20名で開催する。年代別に以下の3つの活動を「自然」「生活」「仲間」の3つの視点で目的を設定して活動する。


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1.幼児向け活動(参加対象:年中・年長)
 春の生き物さがし、森探検、川遊び、落ち葉遊び、秋の木の実さがし、雪遊びなどを行う。

2.低学年向け活動(参加対象:小1~小3)
 里山散策、草木染め、水生生物さがし、秋の生き物さがし、野菜の収穫、雪遊びなどを行う。

3.高学年向け活動(参加対象:小4~中3)
 ハイキング、生き物観察、乗馬体験、雪山散策などを行う。

親子で参加できる畑と田んぼの活動

 親子で参加できる活動で、対象は年中~中3の子どもとその保護者である。
 自分たちの手で米や野菜を育てることによって、食のありがたさや生命の不思議さ、達成感を感じてもらうとともに、体を動かす喜びや爽快感を味わうことができる。また、年間を通して食物を育て、自分たちで収穫したものを食べることで、生き物の成長過程を学び、農作業の楽しさ、大切さ、食べ物本来のおいしさが分かる人を育てることが目的である。
 活動内容としては、もち米の苗の田植え、田んぼの世話、ジャガイモの収穫、稲刈り、冬野菜の種まき、脱穀、籾摺り、サツマイモの収穫、餅つきなどを行う。素手での田植えが初めての保護者の参加も多く、子どもと一緒に感動を味わえると好評である。


泥んこになりながらの田植え 

3 事業の成果と課題

北陸・近畿圏の多くの自治体・教育委員会からの後援

 自治体では、福井県、京都府、大阪府、兵庫県、福井市からの後援を受けている。また、福井県、京都府をはじめ近隣の県・市など15以上の教育委員会が後援しており、小中学校に対して夏の自然体験キャンプのチラシを配布するなど広報協力をしている。
 自治体や教育委員会に対して事業報告を行うとともに、後援継続の依頼活動をしているが、スタッフ数も限られているため、自治体への訪問は2~3年に1回になってしまうところもある。夏の自然体験キャンプなど福井市で実施するイベントに対して、他府県の自治体から後援を得るのは厳しくなってきている。


継続的な参加者確保のための工夫

 福井県内は、自然体験共学センターが教育委員会経由ですべての小・中学校へアプローチしているが、県外は、自然体験共学センターが直接、児童数の多い小・中学校へ、夏の自然体験キャンプのチラシを配布して参加者獲得に努めている。
 参加者の4割程度がリピーターとして参加しているが、継続的に参加者を確保することには、地道な努力が必要である。
 また、ふくい森の子自然学校も、2010年で6回目を迎えたが、最近は、高学年になるにつれて、土曜日にクラブ活動や塾通いがある子どもたちも多くなっている。そのため、日曜日の日帰りコースを設定したり、年代別教室では同じ日程のコースも設定したりして、兄弟姉妹が参加しやすくしている。
 福井県は共働き率が約40%と日本一高いため、保護者が送迎� �きる時間帯にコースも設定し、参加しやすい工夫をしている。


CONE指導者養成講座で熱心に学ぶ指導者たち 

4 今後の展望

指導者の育成にも力を入れて地元の期待に応える

 夏の自然体験キャンプやふくい森の子自然学校などが開催されている時期になると、「廃校になった小学校から、子どもたちの元気な声が聞こえるのは嬉しい」という地元住民の声も多く、今後も四季折々の自然体験活動や人材育成活動に継続的に取り組んでいきたい。
 夏の自然体験キャンプや森の子自然学校などに関わるスタッフの多くが、社団法人日本ネイチャーゲーム協会やボーイスカウト、ガールスカウトなど全国で自然体験活動を行っている団体が加盟し、自然体験活動の普及活動を行っている特定非営利活動法人自然体験活動推進協議会(通称:CONE)の自然体験活動指導者育成制度でトレーニングを受け、トレーナー、インストラクター、リーダーなどの資格を有している。
 自然体験共学センターでも、CONEの� ��ーダーカリキュラムを基にしたCONE各種指導者養成講座も実施しており、今後の活動に向けてのリーダーの育成も、根気よく続けていきたいと思っている。

(ヒアリング応対者:事務所長長田信恵氏、都市農村交流員伊藤弘晃氏)


 自然活動を行う団体では、指導者にも安全面など高い資質が求められる。トレーナー、インストラクター、リーダーなどの活動の幅を広げるために、本文中でも紹介したCONEの自然体験活動指導者育成制度を活用したトレーニングがお薦めである。



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